【第4号】大きなお世話通信

発行人:金井美穂

ごあいさつ

平素は格別のご厚情を賜り、ありがたく御礼申し上げます。
皆様におかれましては、ますますご健勝のことと存じます。

障がい者GH「アミティエ・アミティエS1」は、皆様から有形無形の援助をいただき、4年目を迎えることができました。
現在の利用者様は男性7名、女性2名。今年度は洗面所の改装を行い、
いつでも手洗いうがいができるようにしたり、リビングのテーブルを巨大化したり、
また、8人乗りの新車を購入したりと、大家族対応に備えてみました。

新しい出会いがあり、別れがあり。
そのたびに、仲間たちの心も揺れ動き、自分の居場所を模索していた1年間。
それでも場所は違っても、明るい未来を夢見ながら、今この一瞬を大切に、これからも共にのんびりと歩き続けたいと思っております。

最近の様子・・・あれこれ・・・

★12月★
恒例のクリスマス忘年会!皆で飾り付けをして、ケーキも作って楽しみました。
★1月★
帰省する方も少なくなり、初詣に外出にお年玉と皆さんそれぞれ自由に行く年来る年をしています。
★2月★
小旅行は行き先を群馬県にして、幾部温泉、サファリパーク、博物館など格安での旅行に挑戦しました。
テーマパークなどの旅行では電車などの移動のため、とにかく時間との勝負!
ですが今回の旅行は車だったので、あまり時間を気にせず、皆さんのペースに合わせることが
できました。

★春★
毎年恒例の上田城跡公園でのお花見会。今年は残念ながら中止となりました。
★GW★
こちらも毎年恒例になってきました、帰省予定のない方対象のぶらっとドライブ。
目標をもって外出してみようと話し合い、「伊那のローメンと駒ケ根のソースかつ丼を食べよう」と食の旅に。
★5月★
川辺町のバスハイクは、製糸工場と鉄道文化村へ。2月の旅行と場所が重なってしまったのですが、
地域の方々との旅行はそれだけで楽しいもの。大型バス1台での賑やかな旅行でした。
★6月★
アミティエBBQ大会。今年も流しそうめんに挑戦です。
約25名の仲間たちで、賑やかに食べたり呑んだりしてお腹いっぱいになりました。
★7月★
上田わっしょい・祇園とお祭り大好き夏の始まりです。
★8月★
川辺町のお祭りでは新しい仲間達が中心になり、御神輿担ぎに参加しました。
上田花火大会では、みんなで電車でわいわいと移動し、ビールを吞みながら花火に酔いしれました。

★海★
日帰り海旅行は、今年は残念ながら中止になりました。そのかわりに、少し遠くの日帰り温泉を企画。
1日温泉でのんびり過ごした後、長門牧場で馬にさわり、美ヶ原でニッコウキツゲを見てきました。
★9月★
上田ふれあい広場。今年は駄菓子やおもちゃの他に、クロスロードあおきさんのバスボムを販売です。
他事業所さんとのつながりを大切にしたいと、販売の声にも力が入りました。
少し遅くなってしまいましたが、歓迎会という名の呑み会も企画。二次会のカラオケまで全員参加で
盛り上がりました。
★10月★
上小グループホーム交流会に参加しました。久しぶりに顔を合わせた仲間達は、日頃のストレスを
忘れるかのように、それぞれの近況を話しながら楽しんでいました。
そして秋といえば、松茸です。今年こそ松茸を食べなくてどうする?というわけで
日帰り温泉松茸付きを企画。別所温泉柏屋さんで、松茸ご飯をいただいてきました。

今年は、新しい仲間が増えたり、減ったりということもあり、毎年続いていた花見と海旅行ができませんでした。
そのかわり、松茸付き温泉や歓迎会など、皆さんが懇親できる場を増やしてみました。
そのせいかどうかはわかりませんが、時には喧嘩もあり、時には助け合いと、仲間意識が思った以上にしっかり根付いた感じです。
「皆さんの歩幅に合わせたそれぞれの最適な生活の場を目指す」それには、仲間達の理解が必要不可欠です。
どうしてあの人には優しくて、この人には厳しいの?なんて不満もついつい出てきます。
入居、退居という不思議な出会いと別れを身近で見てきた仲間達は今、その意味を考えている様です。
自分にも出来る事が沢山ある。その自信に向かって一生懸命なのです。

仲間の様子・・あれこれ・・

結構難しい医療機関との関わり
健康が一番!それはわかってはいても、病院という場所は苦手な方が多いと思います。
今回は病院が大嫌いなEさんの医療問題について考えてみようと思います。

毎年の健康診断。予定がリビングに貼られるとすでに青い顔になってしまうEさん。
健康診断当日まで、予定表の自分の名前を黒マジックで消してみたり、みんなに八つ当たりしたりと様々な抵抗をしてみます。


そして健康診断当日。診察前で「やぶ医者」「とんでもない病院だ」と知っている限りの悪態をついて
「やだやだ」と座り込んでの大暴れ。
服装も完全防備で上着もズボンも何枚も重ね着してあり、診察までなかなかたどり着かない。
インフルエンザの予防接種でも、虫歯の治療をしてくれる歯医者さんでも、風邪の時に行く近所の病院さんでも、毎回こうした騒動を起こします。
一番恐れる事態。それは、Eさん自身が病院から拒否されることでした。そして実際そうなってしまいます。


歯医者さん、健康診断をしている医療機関から「もう来ないでください。」と言われてしまい、
そこで初めて「すみませんでした。もうしないから診てください。」と言ったEさんでしたが、「いいですよ」とはいきません。
結局、大きな大学病院に紹介状を書いていただくことになり、「もう先生には変なことは言わない」と約束もしてくれましたが…
やはり大学病院でも同じ騒動を起こしてしまいます。正直、もう行くとこなくなってしまう。と私も途方にくれていました。
そんな私の心境を他所にEさんは「してやったり」の満足そうな顔。
Eさんにとって、病気は一番の恐怖ではあるけれど、それよりも何よりも、病院で検査されることが一番嫌な事なのです。
嫌な事はしなくてもいいと言ってあげたいけれど、そうも言ってられない。
Eさんの性格と心境を理解してくださった大学病院の先生方のご協力で、なんとか簡単な検査をクリアすることができましたが、


後日、先生から逆に質問されました。
「本当に病気になった時、どうするの?今のままじゃ、治療なんて受け入れないでしょう?」
そうですよね…生きるため、病気を治すために、患者さんは病院に行くわけですから。
そこに、病院なんて大嫌いと大声で暴れるEさんに優しい言葉をかけるのにも限度があります。
治す気がないなら、帰れ!と言われても仕方ないんです。


この場合、例えば「病気になっても病院には行きたくない。治療はしない」とはっきり明言していれば課題も変わってくるでしょうけれど、
Eさんのはっきり明言している一番の主張は「病気になりたくない」ということであって
「病院に行きたくない」ということではないということです。
自分がもしも病気になったら?そう思うといてもたってもいられないEさんは、
毎日郵便ポストを覗き、自分宛の郵便物を破って捨ててしまうようになりました。
電話がなると過剰に反応し、自分への病院からの電話じゃないだろうか?と心配して何度も確認してきます。
「電話どこから?」「何の用?」「誰に電話?」「どっか悪いとこあるの?」「気になって仕方ない」「本当に大丈夫?」
そこで、郵便物をEさんの目に触れないようにしたり、病院からの電話はホームにはかけないように
連絡手段を変えるなどの配慮も必要になってきました。

医療問題…毎年の健康診断をこなすだけで精一杯です。
他事業所さんでも、同じような課題を抱えていらっしゃるケースがあるのではないでしょうか?
言葉のない嫌だ!と言葉のある嫌だ!痛い!と痛い前の痛い!行きたくない!と行きたいけど行けない!
その区別をすることは、簡単なようで難しい。

そんなこんながありまして、今年のインフルエンザの予防接種。病院に行くよ!と声をかけたら
そこにはパジャマ姿のEさんの姿がありました。ささやかな抵抗をした後に、ズボンに着替え
予防接種を黙ってうけるEさんに「よく我慢したね」と声をかけると、本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれました。
まわりのやりとりを見ながら、きっとEさんも、健康の大切さをわかろうとしているのではないでしょうか?

おまけおまけの鶴ちゃんの一言

海は今や宇宙に匹敵する位、未知への興味と冒険心を掻き立てる。
未だ到達したことのない深遠な改定と生態系は、人間が認知出来る領域を遥かに超えている。
今年(2,010年)のアミティエ旅行の折、偶然立ち寄った博物館で目にした「地球儀」は、海の大きさと深さを教えてくれる模型教材だったが、
地球を直径1mと仮定すると、海の深さはなんと6cm程だった。
この星は海に被われて「水の惑星」などと呼ばれるが、それは表面だけのことであることに今更ながらに気付く。
陸地は2億5千万程周期で、プレートに乗って移動しているそうだが、「超大陸」のように再び陸地がくっついたら
世界はひとつの国だなぁ…などと思いを馳せてみる。その時人類が生存しているかどうか定かではないが。

編集後記

新しい風~夏に入居したAさんが、日中作業所からの宿題をお持ち帰りして夕食後に勉強をしています。
その姿を見ていたらその昔みた施設での学生ボランティアさんによる勉強会なるものを思い出しました。
時間のある時は私もお付き合いしましたが、これって大学生に頼めないものなのか?と。
思い立ったら即行動あるのみ。大学生にアルバイト募集を呼びかけた所、何名かの応募がありました。
そして夕食後、大学生と一緒に勉強する方が一人、また一人と増えていきます。
こんな風景もありかな?と思っていた矢先…
勉強とバイトを両立できないという理由で、最初4人いたアルバイトさんが数カ月後には1人になってしまいました。
それにあわせてリビングで勉強会をする姿も見られなくなってしまいましたが。
残った学生アルバイトさんとの夕食後の楽しい団らんの時間は継続中。
年度新しい試みをしてはいるけれど、なかなか定着せず、やっては失敗の繰り返しですが、人が変わっても続けていけるように。
目指す所は同じような気がします。
まだまだ、アミティエでは若い力を待っています。これを機会に皆さんとの会話から始めてみませんか?

金井(美)

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